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「ルイ子さま、そっちじゃないですよ」
「ううん、こっちから行こうよ。」

胃の中に収まっているのは、順に、
たたみいわし、へしこ、銀杏、酒盗
それからお客さんが後から持ってきた、くさや。
おでん。おでんの汁に浮かんだ牡蠣、だった。

熱燗がそれらを、犯そうとしながら馴染んでいく。

「あ、これ、『いいコース』ですね。」

あれ、私、この道を行こうって前にも言ったかしら。

「僕、あれからスッカリ気に入っちゃって。『いいコース』って言葉。」
「私、前にも言ったかな?」
「言いましたよ、お前、いいコースがあるんだよ、いいコースで行こう、って、。」

いいコース

かわいい。

私が言ったのかは知らんが、その響きは、ちっぽけで、かわいらしじゃん。

私たちはその道を歩きながら、自分達が思い浮かぶ、『いいコース』について語って、
これは『いいコース』となり得るぞ、なんて案を出しながら、川沿いを歩いた。

「ああ、綺麗ですね。この間ね、僕はそれで、こうして、見て、ああ、本当にいいコースですね!って言ったんですよ!」

私はきっと自慢気な顔をしていた
だろう。

そのコースを歩いて、たどり着いたバーで、私はコニャックを飲んだ。

美味しいお酒は、一旦口に消えてから2秒後に、始まり出す。

そこで、悪だくみをして、笑っちゃう。
自分達の小ささに。

私たちの、いいコース、を達成させるために。
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