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2012.03.10 望むこと
その男は、私に言った。
「ぼくがもし、お店を通してではなくて、あなたに会っていたならば、希望なんて聞いてくれないと思うんです。
ぼくは、あなたの本当の姿に触れたい。フィルターをなくした姿に近づきたい。
だから、ぼくの希望なんかは聞かないで、あなたが楽しいと思うどんなことでもしてください。」
と。

考えてみた。この男とどんな時間の過ごし方をしたら楽しいか。
男の立場を無視して、私が純粋に楽しいこと。
でもね、考えてみたら、私が純粋に楽しいことを彼は望んでいるのだから、それが実のところはお互いが楽しいことなのよ。

出来もしないことを、その場を盛り上げる為に気持ちよくなる為に、大げさな言葉で語るのって嫌い。

私は男がそうでないかを確かめるかのように、見つめた。

ねぇ。お前、私が楽しいどんなことでもするって言ったよね。本当だね。
私ね、ちゃんと考えてみたの。
聞きたい?

「はい」

と男は見上げた。


あのね、
一緒にね、
お買い物に言ったら、楽しいと思うのよ。


笑い声が漏れるのがわかった。
しんした部屋に響くそれは、張り詰めた部屋に色を飾るようだった。

ねぇ
できる?
本当にできる?

甘い快感が霧のように包む。
私は自分の言葉を味わうようにゆっくりひとつひとつ、吐いて、かけた。
お前にはこれができる?

「はい、できます。」

男のそれは張り詰めて、顔は恍惚としていた。

本当にそんなこと言ってもいいの?
身を滅ぼすかもしれないよ。
いいの?

「身を滅ぼしてしまったら…あなたに会えなくなっちゃいます。
ぼくは、あなたに会いたいです。
だから、
生かさず殺さず、でお願いします。」

私はおかしくて仕方がない。
この男は私に支配されている。
その為に変になっているし、変になってもいいのだ。
私に関われる限り。

笑っていると男は
「ああ、いま、すごく綺麗です。」
と言った。
その顔に唾を吐きかけると、男はもっと、酔った。

私の口からでる、言葉や息や唾液を浴びて、濡れた。
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