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「夢ちゃんなんで、僕とはプレイしてくれないの。他の人としないで。僕とSMのどっちが大事なの?」
Hが何度目かもわからない質問を、投げかけた。
思えば、私とHは付き合ってから今まで、この繰り返しを延々と続けてきていた。きちんと解決することはなかった。
私は、引くつもりはなかったので、Hを宥める形でいつも終わった。
なにかがあるとHはこの話を持ち出してきた。

私は嫉妬の渦にもまれて、苦しかった。

Hは、軽いパニック障害になってしまった。血を吐いて入院した。痩せてしまった。
彼は初め私の奴隷だったのだ。彼もSMにとりつかれた一人だったのだ。

Hは私が他人とプレイするのを酷く嫌がっていて、その嫉妬に呪われているように見えた。こわかった。
私はプレイパートナーと撮った写真をHの家に落として忘れてしまったことがあるのだが、彼はそれを手に射精をしたらしい。
勃起はしないのに、だけどどうしようもできなくてそうするのだ、と、わざわざ私に報告してきた。
その光景を思い浮かべるとなんだかゾッとした。

彼がマゾではなかったらば、果たしてここまで嫉妬したのだろうか。

私は、宥めることにも疲れてしまい、嘘をつくようになった。そうすると今度は嘘をつくことに疲れてしまった。

別れることにした。

話をした時は既に夜遅く、私たちはラブホテルに入って、話の続きをすることにした。
彼は、医者からもらった薬を規定量を多く越えて飲み続けていた。
朦朧としているようで、馬鹿げているが、殺されるかも、とホテルに入ったことを後悔した。

何度も縋られたが、丁寧に話し続けた。

Hは私を抱こうとした。私は最後にそれを受け入れようとしたが、いざHが私に入ってくると、私は泣いてしまった。

Hはやめて謝った。
「やっぱり、気持ちなんだね…夢ちゃん」

そう。私はHとこうすることが大好きだったのに。
何度も何度もしたのに最後の一回でも、それはできなかったのだ。

Hは私に優しかった。好きだった頃のように優しかった。
私はもう眠りたかった。
だから、もう一度付き合おうと言って、眠ってしまった。


朝起きると顔色の悪いHが
「昨日は無理矢理言わせたね、やっぱりだめだよね」
と言ったから私は頷いた。

私たちは別々に歩き出した。
Hの左手には、私の右手には、人を殺すことになるジェットコースターが見えていた。


その後会ったHは健康そうだった。
とりつかれていたんだね。何かに二人とも。

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